2017-2024 (C)インテリアとしてののれん
昔から日本ではおなじみの存在であるのれんは
一般的に飲食店や温浴施設などで見かけることも多く、
一般家庭でもかつては台所などによく利用されていました。
しかしながら最近ではのれんのデザインや素材、
柄やカラーなども多岐にわたるようになってきており、
商業施設で看板代わりの目印や、家庭での扉や
間仕切り代わりとして使用されるだけでなく、
おしゃれなインテリアとしても活用されるように
なってきています。
そんなインテリアとしてのれんを活用しているケースでは、
おもに柄や模様を見て楽しむためのタペストリー代わりとして
使用するといった方法や、見られたくない物を隠すための
目隠し的な役割で使用するといった方法などがあります。
またカーテン代わりにも使用可能であり、遮光性に優れた
素材のものなども存在していますし、それとは逆にあえて
光が透けるような素材を使用することで、柔らかい光の
透け感を楽しめるのれんなどもあります。
それゆえに素材やデザインのバリエーションも
豊富となっており、アジアンテイストやヨーロピアン、
北欧テイストなどさまざまなタイプが存在しており、
いろいろなデザインを探すことができるので、
どのようなテイストやシチュエーションにも
マッチング可能なアイテムとなっていることも魅力の一つです。
さらにコスト的にもカーテンなどよりはお手頃価格と
なっているケースが多いですし、重くてかさばるといったことも少なく、
使い勝手の良さもメリットとなっています。
機能的 長暖簾には日よけとしての機能があります。暖簾は商家などの玄関先に使われますが、この場所はお客様が大勢来る場所でもあります。
そのためお客様を外の日射から守る役割としても重要となります。
このおもてなしの心は昔から今に至るまで受け継がれている商人の感性と言うことも出来るでしょう。
また店の看板の様な役割もありました。
と言うのも昔は今ほどに識字率が高く無かったこともあり、文字で店の名前を表すよりも暖簾の柄で店の屋号を表現する意味もあったのです。昔は今の様な学校教育制度も無く、多くの人が無学でした。そのために文字を読める人も少なく屋号を視覚的に表現する方が効果があったのです。
尚、この効果は今でも同様な物を身の回りで見ることが出来ます。良い例が店に飾られているエンブレムやマークなどです。
これはそこに会社の名前を仮に書かなかったとしてもどの様な会社かを識別できる様にしてあります。つまり、文字情報としてでは無く直観的に会社名を表していて、その部分が暖簾と同じ効果とも言えるのです。
そして音としての意味もありました。
暖簾には時としてビーズ玉などの飾りも付けてあり、音を楽しむことも出来ました。
暖簾の風での揺らぎが軽い音を立てるため、情緒豊かな雰囲気を作り出していたのです。これはお客様に涼を与える意味でも便利な機能と言えます。
ここでも前述と同様のお客様をもてなす心に繋がる精神があったと言うことが出来ます。
心理的
長暖簾には心理的な意味もありました。大きなところでは結界の意味があったのです。
これは人間の心理を上手に利用した物と言うことが出来ます。
と言うのも暖簾があると中に無断で入るのに、ある種の抵抗を感じられたからです。
この効果は日本の様々な場所で見ることが出来ます。
例えばちょっとした柵があったとすると、乗り越えるのが仮に簡単としても、乗り越えることに抵抗が生まれ、店の中への侵入が出来なくなります。
特に中に入ったならば店内の人に見られることが確実ですので、その状況も併せて想起され、条件反射的に抵抗を感じることになっていたのです。
ちなみに、仮に店に対して悪意を持っていた人間であっても、暖簾の持つ効果にある心理面での意味で圧倒されて侵入をあきらめたことも多かったのです。
この様に暖簾には心理面での大きな意味もありました。
これはまさに現代の防犯効果に通じる部分もあります。暖簾が実は店を守っていたのです。